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要約
連載「株主優待」の3回目です。今回は稲畑産業(8098)を100株。
この銘柄、私の証券口座に買った記録が1件も残っていません(SBIネオモバイル証券時代の約定履歴がないため)。それどころか、去年届いた優待がいくら分だったかも覚えていません😅
なのに記事にしようと思ったのは、稲畑産業の優待が「持つほど増える」タイプだからです。金額が4倍変わります。そして増えるかどうかは、年4回の判定を何回連続でクリアしたかで決まります。
自分が何回クリアしているのか。記録がないので、外側から挟み込んで数えてみました。
- 優待の金額が 500円 → 1,000円 → 2,000円 と変わる仕組み
- 3年以上でもらうために必要な、13回の判定
- 記録がない私が、それをどうやって数えたか
- 私の7指標だとどうなるか(今回は×がゼロです。連載で初めて)
- 『自分利回り』が 6.13%、優待を足すと 6.99% になること
⚠️ 権利付き最終日は2026年9月28日です(※要確認。日付は必ずご自身で確認してください)。
稲畑産業(8098)って、どんな会社?
住友化学系の専門商社です。化学品や合成樹脂、情報電子材料、食品などを扱っています。東証プライムの卸売業。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 株価 | 4,420円(2026年9月7日) |
| PER(予想) | 11.24倍 |
| PBR | 0.98倍 |
| 自己資本比率 | 45.73% |
| 時価総額 | 約2,374億円 |
| 配当利回り(予想) | 3.24% |
| ROE(予想) | 8.7% |
| 決算期 | 3月 |
配当はきれいに伸びています。
| 決算期 | 1株配当 |
|---|---|
| 2022年3月期 | 110円 |
| 2023年3月期 | 115円 |
| 2024年3月期 | 120円 |
| 2025年3月期 | 125円 |
| 2026年3月期 | 128円 |
| 2027年3月期(予想) | 143円 |
5期連続の増配で、減配はありません。 配当性向は2026年3月期で33.3%。まだ余裕があります。
そして2026年5月11日、会社は株主還元の方針を変えました。累進配当と総還元性向50%以上に加えて、DOE(株主資本配当率)4〜4.5%を新しく導入しています。今期の143円は「DOE4.2%」だと会社自身が説明しています。
出典:株主還元の基本方針の一部変更(DOE指標導入等)に関するお知らせ(2026年5月11日)
稲畑産業は、10年かけて株主還元を積み上げてきました
調べていて、いちばん驚いたのがここでした。この会社、10年以上かけて少しずつ株主還元を強くしています。
開示をさかのぼって並べると、こうなります。
| 日付 | 何があったか |
|---|---|
| 2014年8月6日 | 配当の方針を変更。総還元性向30〜35%程度を目安に |
| 2015年7月29日 | 株主優待を導入。100株で3年未満500円/3年以上1,000円 |
| 2017年4月27日 | 優待の金額を倍に。3年未満1,000円/3年以上2,000円 |
| 2019年9月30日 | 優待を3段階に。6カ月未満500円/6カ月以上1,000円/3年以上2,000円。あわせて判定を年4回に |
| 2021年3月29日 | 累進配当を導入 |
| 2022年2月7日 | 総還元性向を30〜35%程度から、概ね50%程度へ |
| 2024年5月8日 | 中期経営計画「New Challenge 2026」 |
| 2026年5月11日 | DOE4〜4.5%を導入(2027年3月期から適用) |
2014年の時点では、配当の目安は「連結純利益の20〜30%程度、最低でも年10円」でした。そこから総還元性向という考え方に変えて30〜35%に。2022年にそれを50%程度へ引き上げ、2026年にはDOEまで加えています。
優待も同じ道をたどっています。2015年に500円で始まって、2017年に倍。2019年には保有期間の刻みを増やして、長く持つ人ほど多くもらえる形にしました。いまの「6カ月未満・6カ月〜3年・3年以上」の3段階は、このときにできたものです。年4回の判定基準日も、このとき明記されました。
配当と優待を、別々に、けれど同じ方向へ、10年かけて厚くしてきた会社です。
そして私が買ったのは、この流れのちょうど真ん中あたりでした。その話は後で書きます😊
優待は、持つほど増えます
ここが今回の主役です。

もらえるのは稲畑産業オリジナルのQUOカード。金額は、保有株数と継続保有期間で変わります。
| 継続保有期間 | 100〜200株 | 200〜300株 | 300株以上 |
|---|---|---|---|
| 6カ月未満 | 500円分 | 500円分 | 500円分 |
| 6カ月〜3年 | 1,000円分 | 2,000円分 | 3,000円分 |
| 3年以上 | 2,000円分 | 3,000円分 | 5,000円分 |
出典:稲畑産業 株主優待制度(※要確認。条件は変わることがあります)
100株なら、500円が2,000円になります。4倍です。 株数は同じで、持っている期間だけで変わります。
- 対象は毎年9月30日現在の株主名簿に、100株以上で記録されている株主
- 発送は毎年12月初旬。第2四半期の株主通信と一緒に届きます
判定は年4回あります
ここが大事なところです。会社の説明にはこうあります。
毎年、3月31日、6月30日、9月30日、12月31日を株主名簿の記録確認の基準日
各継続保有期間中のすべての基準日時点の株主名簿において、保有株式数の条件を満たし、かつ同一の株主番号が継続して記録されている
年4回の基準日、そのすべてで100株以上を持っていること。 しかも同一の株主番号で連続していること。
つまり3年以上を満たすには、2023年9月30日から2026年9月30日まで、13回連続でクリアする必要があります。
⚠️ 「同一の株主番号」という言い方に注意してください。貸株サービスを使っていると、株主名簿から外れて番号が変わり、それまでの記録がリセットされることがあります。 前回の三井住友FGでも同じ注意書きがありました。優待狙いで貸株を使っている方は、確認したほうがよさそうです。
で、私は何回クリアしているのか
数えてみます。ただし、ここで問題があります。
私の証券口座に、稲畑産業を買った記録が1件も残っていません。
SBI証券でさかのぼれる約定履歴は原則2年ぶんです。引き出しても、稲畑産業は1件も出てきませんでした。つまりそれより前に買っているということしか分かりません。
記録で確認できるのは、こうなります。
| 回 | 基準日 | 私の記録 |
|---|---|---|
| 1〜4回目 | 2023年9月30日 〜 2024年6月30日 | 記録なし |
| 5〜12回目 | 2024年9月30日 〜 2026年6月30日 | 確認できる(8回) |
| 13回目 | 2026年9月30日 | 今月末。これから |
13回のうち、8回ぶんしか証明できません。
そこで、外側から挟み込みました
買ったきっかけは、はっきり覚えています。YouTubeの動画を見たからです。
【分析】稲畑産業、高配当で株主優待もあるよ!(【特撮と投資】ルネ岩田)
この動画の公開日を調べたら、2022年1月17日でした。
そしてもうひとつ、覚えていることがあります。そのころ稲畑産業が話題になっていて、配当方針の大幅な変更があったという記憶です。調べたら、ありました。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2021年3月29日 | 稲畑産業が累進配当を導入 |
| 2022年1月17日 | 私が見た動画が公開 |
| 2022年2月7日 | 総還元性向の目安を30〜35%程度から、概ね50%程度へ変更 |
出典:株主還元の基本方針の一部変更に関するお知らせ(2022年2月7日)
動画の3週間後に、大幅な方針変更が出ています。 私の記憶と、日付が合いました。
ということは、買ったのは2022年1月17日より後。2022年のうちに買っていたなら、2023年9月30日の1回目には間に合っています。
つまり13回すべてクリアしていて、優待は2,000円分もらえているはずです。
⚠️ ただしこれは推定です。実際の買付日は分かりませんし、届いた金額も覚えていません。「たぶんそうだろう」までしか言えません。
記録がなくても、会社は数えています
ここが面白いところだと思いました。
私は自分が何年持っているか追えません。でも会社は数えています。 株主名簿に、年4回、私の株主番号が載り続けている。それだけで金額が上がっていきます。
何もしなくていい。持っているだけで増える。優待の中でも、これはかなり性格の違うタイプだと思います🤔
なお動画は4年前のものです。当時の分析なので、今の稲畑産業の数字とは違います。私が見たのはこれ、という記録として置いておきます。
私の7指標で判定してみる
いつもの7指標です。

| # | 指標 | 稲畑産業の数字 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1 | 自己資本比率(40%以上) | 45.73% | ○ |
| 2 | PBR(1倍未満) | 0.98倍 | ○ |
| 3 | 配当性向(70%以下) | 33.3% | ○ |
| 4 | 累進配当 | 2021年3月に導入 | ○ |
| 5 | 増配トレンド(3年以上) | 110円→143円・5期連続 | ○ |
| 6 | DOE | 4% | ○ |
| 7 | 配当利回り(3.5%以上) | 3.24% | △ |
累進配当とDOEはかぶりたんの一覧で確認しました(2026年9月8日時点)。
×がひとつもありません。この連載では初めてです。
前回の三井住友FGは×が3つでした。それでいて、私の保有銘柄でいちばん増えているのがその三井住友FGです。今回の稲畑産業は×ゼロで、1.9倍。
7指標の点数と、増え方は比例しません。 毎回書いていることですが、この2本を並べると分かりやすいと思います😅
なお、この7つに総合判定はありません。選ぶときの参考であって、合格ラインではないからです。
『自分利回り』は6.13%。優待を足すと6.99%
この連載の主役、『自分利回り』です。
『自分利回り』とは、今の株価ではなく、自分が買った値段(取得単価)で計算した利回りのことです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 保有株数 | 100株 |
| 取得単価 | 2,332円 |
| 取得金額 | 233,200円 |
| 株価 | 4,420円 |
| 評価額 | 442,000円 |
| 評価損益 | +208,800円 |
出典:SBI証券の保有証券一覧(特定預り)/株価はIRバンク2026年9月7日
配当は1株143円(2027年3月期予想)、優待は2,000円分として計算します。
| 今の株価4,420円で買う人 | 私(取得単価2,332円) | |
|---|---|---|
| 配当(年14,300円) | 3.24% | 6.13% |
| 優待(2,000円相当) | 0.45% | 0.86% |
| 合計 | 3.69% | ★6.99% |
倍率は1.90倍です。100株ぶんの年間配当は、税引前で14,300円になります。
含み益が20万円を超えていますが、これは私の手柄ではありません。会社が増配を続けて、市場がそれを評価しただけです。私がやったのは、動画を見て買って、あとは持っていただけです。
含み益はマボロシですから、私が見ているのは年間配当見込み14,300円と、そこに乗る優待2,000円のほうです。
まとめ
稲畑産業(8098)を、私の保有データと一緒に書きました。
- 優待はオリジナルQUOカード。100株なら6カ月未満500円 → 6カ月〜3年1,000円 → 3年以上2,000円
- 判定は年4回の基準日すべて。3年以上なら13回連続でクリアする必要がある
- 私は買った記録が残っていない。13回のうち証明できるのは8回
- ただし動画の公開日(2022年1月17日)と方針変更の日付(2022年2月7日)から、2022年には買っていたはず。優待は2,000円のはず(推定)
- 7指標は×がゼロ。連載で初めて
- 『自分利回り』は6.13%、優待を足すと6.99%
この記事は「買いましょう」という話ではありません。 数字はすべて執筆時点のもので、株価も配当も優待の条件も変わります。判断はご自身でお願いします。
今回いちばん書きたかったのは、優待には「持っているだけで増える」タイプがあるということでした。買い増さなくていい。何もしなくていい。ただ、売らないことだけが条件です。
前回は優待の資金づくりに株を売って後悔した話を書きました。今回はその逆で、売らなかったことが金額になって返ってくる話です。同じ優待でも、ずいぶん違うものですね😊
次回も9月末が権利確定日の銘柄を予定しています。最後までお付き合いいただいて、ありがとうございます😆


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